名なき者たちへの怒りが
解放されたせいだろうか。
坊やはその晩、
健やかな寝息をたてて眠った。
そのまましばらく
眠りの時間が続いたが、
ある朝、穴倉から顔をだし、
わたしにこんなことを尋ねた。
「ねえ、ひょっとして…。
パッと湧いた怒り。
パッと湧いたいら立ち。
つまり一瞬、生まれた
『恐れの感情』は
名なき者のご飯にならないの?」
「その通りだ。
君が今、自分で言ったじゃないか。
『一瞬、生まれた感情』とね。
『一瞬』と言うからには、
すぐに消えたということだろう?
消えたものを
どうやって食べるんだい?」
「そっか…」
「わたしが日頃から
怒りやいら立ちを
ポンッと、口にするのはこのためさ。
生まれた負の感情を即座に
発散すれば、
その感情はたちどころに消え失せ、
名なき者の餌にならない。
わたしときたら、
こんなにも短気で、
こんなにも心が狭いのに
おおらかで寛大な人物であろうと
頑張れば、
自分の怒りやいら立ちを
グッと我慢することになる。
その我慢した感情が
今日、また明日と積み重なれば、
やがてその溜水(たまりみず)の
ような感情に
名なき者が住みつくだろう」
坊やは小首をかしげた。
「『恐れの感情』は
それが一瞬で発散できたなら
名なき者を寄せつけることはない。
たしかにその通り
かもしれないけど…。
即、怒って発散したら
パッと消える場合はいいけどさ。
怒ったが最後、
えんえんと怒りがあふれてきて
相手をひどく、なじってしまう人も
いるでしょ?
ほら、パワーハラスメントって
あるじゃない。
強い立場の人が、
弱い立場の人の些細な失敗を
乱暴な言葉でののしって
追い込んでしまうケースが。
モクちゃんみたいに
パッと口にすれば、
誰もが一瞬で、怒りやいら立ちを
治められればいいけどさ」
「その人は、
部下の小さな失敗に
怒っているんじゃない。
大昔、失敗を重ねて破綻し、
自分に苦労をかけた親。
あるいは子ども時代に
力ある者に屈服してしまった、
か弱き自分。
そうした過去の誰かが
ゆるせなくて、怒っているのさ」
「え…」
「いいかい?
ある出来事への怒りが
いつまでも収まらないとき。
その出来事から
ずいぶん経つのに、
幾度も思い出してモヤモヤするとき。
そいつはたいてい、
今この瞬間の出来事に、
怒ってるんじゃないんだ。
例えばね。
わたしとの約束の時間に
連絡もなく1時間、遅れてきた
友がいたとする。
やってきた彼女にわたしは、
『遅い!送れるなら連絡して!』
と怒る。
本来なら、これでおしまい。
ところが、相手が謝っても
時が経っても、
腹の虫が治まらない。
えんえんと相手に怒りをぶつけたくなる。
事が済んで、家に戻り
もう他事をしているはずが、
幾度も思い出してモヤッとする。
こういう時は、
幼い頃のあの日、あの時、
『自分の時間を不当に奪って
平気だった、酔っ払いのお父さん』に
怒っていたりするものさ。
『幼稚園の迎えに
待っても待っても
来なかったお母さん』に
怒っていたりするものさ。
パワハラをしてしまう人と
言うのは、
こうした過去のトラウマを
ほとんど振り返ることなく、
感情に寄り添うなんてことも、
全くと言っていいほど
やってこなかった人が多いんだ。
そんな人が、
感情をそのまま即出しするのは
確かに危険だろう。
わたしが勧める相手とは、
自分との向き合いを重ねて、
自分の感情に寄り添うことを、
大切に生きてきた人達のことさ」
「うーん…。
本来、『怒り』はそんなに
長く続くものじゃないんだね。
続く場合は、
昔感じた『怒り』が癒されないで
残っていて、
そいつが刺激されているだけ」
「そう言うことさ。
こいつは『怒り』に
限った話じゃない。
ふとした瞬間に生まれた
『寂しさ』が、
どうしても消えないとき。
そいつは過去のどこかで
強く感じた『寂しさ』が、
置いてきぼりだからなんだ」
「そういう時は、
自分の感情に寄り添う、
だね?」
「ああ、そうだ。
負の感情が
時を経ても治まらないとき、
既に終わったはずなのに、
幾度も思い出されるときは、
『ああ、この気持ちを
最初に感じた過去のわたしが
まだ癒されていないらしい』
と、理解する。
そうした心の仕組みを知る者は、
たとえ、
ポンッと軽やかに怒ったり
寂しさを伝えたりしても、
人を不用意に傷つけない。
簡潔なコミュニケーションと
なるだけだ。
それにね。
こういう対応を心掛けていると
腹が立った相手を
憎まないで済む。
誰かへの憎しみが
いつまでたっても癒えないとき、
相手への怒りを我慢して
穏便にすませた経験があるものさ。
相手を好きできるためにも
怒りの即出しは大切なんだ。
また、感情表現を抑え込まなく
なるものだから、
嬉しさや感謝もすぐに
表現できるようになる。
名なき者もつかず、
ストレートなコミュニケーションで
ストレスがない。
いいことづくめだと思うのだが
どうだろうか」
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*photo by トッシイさん