「モクちゃんはお祈りをしないね。
亡くなった魂たちを
天に上げるお仕事なのに、変なの」
と坊やが言った。
「そう見えるかい?
だとしたら、わたしの『祈り』は
とても上手くいっている。
『祈り』とは
『この世の最良を確信すること』だからね」
「えっ?
多くの人たちは
『この世の最良』を
とても感じられないから
祈っているのに…。
モクちゃんは
ずいぶん難しいことを言うんだね」
言葉を切って
少し悲しそうな瞳をする。
「よく言うだろう?
『願い事』は
完了形でしなさいって。
『祈り』も同じと
言うことかな。
『戦争が一刻も早く終わって
平和が訪れますように』
じゃなくて、
『この世界は平和です』
こんなふうに、
平和である世界を確信したかの
ように言ってみる。
こいつが『祈り』だって、
モクちゃんは言いたいのかな…。
でも僕は
こんな言葉の言い換えが
苦手なんだ。
真実から目を背けている
みたいで」
わたしは坊やに向き直った。
「言葉を言い換えることに
大した意味はない。
語尾を完了形に変えるなんてのは
単なる言葉遊びさ。
言っただろう?
『風の時代』で大切なのは
言葉よりも心だって。
言葉の背後にある
無意識下の『前提』が
この世界を創る。
…
…
この世の最良を
『確信』すること。
確信できないなら
確信するまで『視る』ことだ」
「『視る』…。
ねえモクちゃん。
もっと詳しく教えておくれよ」
「可愛いターナ。
君がこの世界の戦争に
心を痛めていることを
知ってるよ。
それだけじゃない。
世界中の人々の悲鳴に
耳を澄まし、彼らの心の安寧を
祈っている。
君はどうやらこの大地に
詩を唄い、
祈るためにやってきたんだな。
祈りの力で、
美しい世界を
創造するために。
それならば
『祈り』とは
この世の最良を確信すること。
確信できないなら
できるまで『視る』こと。
こいつを深く
理解する必要があるだろう」
*
「確信するまで『視る』とは
なに、シンプルな話でね。
戦争をする人の
本来の魂の美しくさを『視る』。
ただそれだけなんだ。
戦争をしなければ
自らの命がおびやかされると
言う幻想。
この恐れの幻想の向こうに、
必ず彼らの
美しい魂は存在している。
汚れた魂などこの世にはない。
それはつまり、
生まれる前から
恐れに囚われている人など
1人もいないと言うことだ。
恐れはすべて、彼らの過去の
苦しい体験と
その時生まれた
痛みの感情が原因なんだ。
それならば、
彼らがにぎっている
恐れの向こう、
そこにある真の姿を『視る』こと。
本来の美しさを『視る』ことさ。
こいつは何も
平和への祈りに
限ったことじゃない。
目の前にいる病気の人が
『健康になりますように』と
祈るとき。
その人の肉体の
本来の力を『視る』。
生命力が
ほとばしって輝いている肉体を
おそらくは本来の肉体を
『視る』ことなんだ。
そうしてね。
視えたならもう、こっちのもの」
と、わたしは片目をつむった。
「その人の最良を、
この世界の最良を
確信できるから?」
と、坊や。
「ああ、そうだ。
そうして確信したビジョンは、
君の心に新たな『前提』を作る。
この世界は大丈夫だ
という、
愛から生まれた『前提』をね。
この『前提』こそが
君の目の前の現実を
リアルに創り出す
苗床となるだろう」
「祈りが天に届くんだね」
わたしはこっくりとうなずいて、
言葉をそえた。
「『祈り』に
大切なのは言葉じゃない。
本来の世界の美しさを
目の前の人の魂の美しさを
見通せる曇りのない眼なんだ」
少し思案したのちに
坊やは言った。
「もし…
視ても視ても
本来の魂の美しさを
見いだせなかったら?」
「簡単なことだ。
その時は『祈る』なんてことを
やめてしまえばいいのさ」
坊やはしばらく
押し黙り、やがて口を開いた。
「その時は
僕自身の
本来の魂の美しさを
じっと見つめることにする。
もし、
自分の魂の美しさまでも
見いだせなかったら…。
僕の目を曇らせている
『存在の前提』を探しに行くよ。
そこにひも付けされた
苦しい体験と
痛みの感情を抱きしめて癒して、
きっと僕自身の魂の美しさを
見い出してみせる。
そいつが出来たとき
僕はやっと
曇って見えなかった
誰かさんの魂を、
その本来の美しさを
『視る』ことができる気がするんだ。
そうしてこの世の最良を、
確信することができるだろう」
「ああ。
誰かの魂の美しさが
見えないとき。
大抵は、己の魂の美しさもまた
見失っているもの。
そんな時は、祈りを手放し
自分を愛しむ旅に戻る。
以前、君に語って聴かせた
『存在の前提』に
気づくための、内的な旅にね」
坊やは心底安心した様子で
うなずいた。
そして、甘えるように、
わたしの懐に顔をうずめた。
「ねぇ、モクちゃん」
「なんだい?ターナ」
「いつかね。
なぜあなたが、
死者たちを天にあげるお仕事を
しているのか、教えてよ」
「ほお。君はそんなことに
興味があるんだね」
「うん…。
実は僕、怖いんだ。
この地球上で命尽きた後も
迷い続け、
天に上がらずにいる
『名なき者』たちが。
怒り、悲しみ、憎しみ、
恨み、嫉妬、欲望、罪の意識…。
そんな感情に溺れて
『名なき者』になってしまった
魂たちが。
だけどさ。
怖くてたまらない
彼らの魂の中にも
本来の美しさを
見いだしたい。
だから、
彼らと向き合っている
モクちゃんに
いろいろと聞いてみたいんだ」
震える小さな身体を
そっと抱き寄せる。
いずれはこの聡明な坊やに
わたしの秘密を伝える日が
やってくるだろう。
だがその日はもう少し
先のことになりそうだ。
―
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