【『この世界は内面の写し鏡である』を、捨ててみる】

「ねえ、モクちゃん。
風の時代は『意図したことが現実化する』
んだよね?」

「ああ、そうだよ」とわたし。

「これってさ。よく聞く
『この世界は内面の写し鏡である』
ってのと、同じ意味かしら。

心の闇が深ければ
その闇が目の前の世界に反映され、
過酷とも思える現実がやってくる。

心の光が大きければ、
その光が目の前の現実に映し出され、
素晴らしいと感じる現実が現れる」

「まあね。
表現の仕方が違うだけで、
同じ意味になるのかな」

坊やは眉間にしわをよせ、
「なんだか僕、
『世界は内面の写し鏡』って
話を聞くとザワザワするんだ」
と言った。

「ほう、なぜだい?」

「『写し鏡』と言う言葉は
起きている現実は
すべて自分の内面次第、
すべては、あなたの責任だよ
と言われているようで
苦しくなる」

わたしは「ふむ」と
小さく鼻を鳴らした。

苦しい体験のただ中にいる
当事者には、
確かにそうかもしれなかった。

沈黙し、彼らが身構えないで
受け取れる言葉を探してみる。

この世界は
自分と誰かさんの共同創造で
できている。
互いの『魂が望む体験』を
するために。

と言ったら、どうだろう」

「うん。
『共同創造』と聞くと、
少しホッとする。

でもさ。
例えば、働きもしないで、
なにかと言えばすぐ暴力をふるう
旦那さんがいたとして、

そいつまで
『魂が望む体験』とか
『自分とその人で作ったこと』とか
言われたら、
その渦中にいる人は
やっぱり、たまったもんじゃない。

僕は長らく
あらゆる苦しい体験を
『すべては自分が創り出したこと』
とらえてきたから
この辛さが分かるんだ。

自分を責めて、
律しようとして、
でもその律し方も分からなくて、
結局は
『自分に問題がある』と言う
思考のどつぼにハマる。

そしてさ。この

自分 = 問題がある

の前提が、
またとんでもない現実を
引き起こしてしまいそうで
不安になるんだ。

いっそさ。
『世界は内面の写し鏡だ
なんて、
そんなのクソくらえだ!』
と、天に怒鳴って
やりたいくらいさ」

わたしの元へ
やってきたばかりの頃は
ガイド(聖なる存在たち)に
どこまでも忠実だったターナが
天をののしって見せた。

この子はあまりに天に従って
生きて来たから
その姿は不思議とまぶしい
くらいだった。

「その奥さんの例で言うならね。
『魂が望む体験』ってのは
何も『暴力を受けたい』って
ことじゃないんだ。

これは友人の言葉だがね。
この世にドMの魂などいないのさ」

「ドMの魂?」
聞きなれない言葉に
坊やは目を丸くした。

「ああ、そうだ。
『痛い目にあってみたい』
『誰かを恨んでみたい』
『貧乏で苦しんでみたい』

こんな恐れの体験をしたくて
その現実を創造する魂など
一人もいない

「じゃあ、
旦那さんの暴力に悩む
この奥さんの魂は
どんな体験がしたかったの?」

「そうだな。
こいつも実は、
『やり残した分離体験』の
一種なんだが…。

『やり残した分離体験』の記事
https://moccuma.net/mokusei_blog/2022-04-26/

聞いて心地よく
ほっとチャレンジしたくなる、
この世界のとらえ方

を一つ
伝授しようじゃないか」
そう言って、わたしは語り始めた。

「わたし達の内側には
『10の魅力ある本質』がある」

「10の魅力ある本質?」

「ああ、そうだ。
わたしはこいつを『10の内なる星』
呼んでいるんだが…。

この『10の内なる星』たちは
最初から活発に
働いているわけじゃない。

その魅力を自分で発揮する機会
つまりは『内なる星』を使う機会
それぞれのタイミングで
やってくるんだ」

「『内なる星』かあ…。
そいつは
どんなものがあるの?」

「例えば
『内なる子ども』。

この地球は分離の時代が
長かったからね。
数多の苦しい体験をしてきた
わたし達の魂は、
痛みの感情を多く持っている。

その存在に気づいてやること
そして、愛情いっぱい
抱きしめてやること

何百回と、痛みの感情たちを
抱きしめ、癒してやると…。

やがてその人自身の
もっとも『ピュアな願い』
立ち現れる。

これが、第1の本質
『内なる子ども』

他にもある。

『内なる勇者』
自己主張をする力。
本音に従って、YESを言う力。
NOを言う力。

そして、
ひねることなく
遠慮することなく
真っすぐに行動する力。

男性性のパワーとも言うがね。

これが第5の本質『内なる勇者』

坊やは興味深げに
聞いていたが、
やがて小首をかしげ
こう尋ねた。

「その『内なる星』たちと、
旦那さんの暴力に悩む
奥さんの体験。
この二つは関係があるの?」

「あるとも。
この『内なる星』
使う機会を無視し続けると
『誰かに使われてしまう』と言う
特徴があるからね」

「え!誰かに?!」

「ああ」とうなずき言葉を続ける。

「例えば『内なる勇者』

男性性のパワーとも言うべき
このエネルギー。

こいつを使うタイミングを
逃し続けると、
暴力とかパワハラとかを
受けやすくなる。

『内なる勇者』と言う
人間の本質を
最も未熟な形で、
他者に使われてしまうんだ」

「そんなことが起こるんだ…」

「さらには…
もしこの旦那さんがね。

身勝手で無責任。
仕事も家事もしないのに
べたべたと甘えるばかり。

腹を立てると、
すねて何日も口をきかない。

加えて
そんな振舞があるとしたら」

「…まるで小さな子どもみたい。
あ!『内なる子ども』
使われているんだね!」
と、坊やが言った。

「その通り。
『内なる子ども』を
最も未熟な形で
使われている。

こんな時はね、ターナ。
この奥さんは
『内なる勇者』と『内なる子ども』、
この二つの星を
使うタイミングなんだ」

「星を使うタイミング…」
ターナは目をしばたたかせた。

『内なる勇者』
使うと言うことは。

思い切って自己主張する。

他者に配慮ばかりしないで、
自分の欲求のままにYESを言う。
NOを言う。

誰かにエゴイスティックと
思われたって構わない。
嫌われても構わない。

全員が賛同すること、
全員が納得することを探さず、
ただ自らの本音に従って
決断、行動する。

拒否をする。
縁を切る。
獲りにいく。

こうした男性性のパワーを、
すなわち『内なる勇者』と言う星を
自らが使うタイミング

『内なる子ども』を使うと
言うことは…」

そう話を続けようとして、
坊やの瞳が輝いたことに気づき、
待ってみる。

「自分の中に生まれた
痛みの感情に気づいて、
抱きしめる…」

わたしはうなずいて見せた。
「そう。
言ってみればね。
子どものように駄々をこねる
旦那さんの姿は、
そのまま
奥さんの『内なる子ども』の
姿でもある。

こんなにも構ってほしい。
こんなにも愛されていない。
どうか僕を見て!
見てくれるまで、
愛してくれるまで
こんな風に駄々をこねてやる!

そんな感情たちを、
代弁している。
目の前の旦那さんがね」

「そうやって他者が
自分の『内なる星』の
体現者になってるってこと?」

「その通り。

そしてね。
夫の暴力と言う
こうも過酷な現実が
立ち現れる前に…。

『内なる星』たちは
もっとソフトに
もっと小規模に
誰かに使われていた
はずなんだ。

子どものように
無責任な同僚に
仕事をいつも
おしつけられるとか。

通りですれ違った男に
乱暴な言葉をぶつけられるとか。

その時もし、
自分の星を使うタイミングに
気づいて
チャレンジしていたら。

旦那さんの暴力に苦しむ
なんて、
ひどく過酷な『星の使われ方』は
起こらなかったはずなんだ」

「そうか。
そんな風に考えれば、
目の前の苦しい体験は、
自分のせいだって
思わないですむ。

『どんな星を使うタイミング
なんだろう?』
って、
小さな冒険の始まりみたいに
思えるかもしれない」
と、坊やは言った。

「そうだろう?

この『10の内なる星』の世界観は
3つ、素晴らしい点がある。

一つは、
『自分を責める』と言う
ネガティブな思考になりにくい。

一つは、
なにをどう行動すればよいかが
具体的にイメージできる。
『10の内なる星』を知っていればだがね。

最後は
立ち現れる現実が過酷になる前に
星を使うことで、
人生をエキサイティングに渡っていける。

ステキだと思わないか、ターナ。

わたし達の魂は
内に秘められた
『10の魅力ある本質』
チャレンジしたいばっかりなんだ。

そのお知らせ役として
他人はわし達の人生に介在する。

この旦那さんだけじゃない。

旦那さんから見た奥さんもまた、
泣いたり、びくびくと小さくなったり、
やっぱり彼の『内なる子ども』
体現者であるだろう。

こうして互いに
『内なる星』を使われあって
自分の本質を、
その魅力の使いどきを
お知らせし合っているんだな。

そうやってわたし達は
誰かとともにこの現実を
共同創造しているんだ。

だからわたしは
『星を使う』ことが
やめられない。

ここある宇宙の摂理が
愛おしくて面白くて
仕方ないんだ」

わたしはいつしか
目の前の坊やを忘れ、
胸いっぱいに広がった
星の叡智に感じ入った。

 


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